ARTICLE コラム
34乳がん手術後の乳房の再建とは
国内の女性が罹患するがんで、最も多いのは「乳がん」です。30代後半から増加し50代までにかかる方が多く、年々乳がん患者は増加傾向にあります。
乳がん治療で手術を選択すると、乳房を大きく切り取る方も。その際には乳房の再建が行われることもあります。
今回は乳房再建に携わるアートメイクを詳しく解説します。
乳がん手術後の乳房再建とは
乳房再建とは、乳がん手術によって切り取った乳房を形成外科技術で再建する方法です。乳房を失うことで、
・パットがうまくはまらずわずらわしい
・温泉など人目に付く場所に行きにくい
・バランスが悪く体の不調につながる
・手術痕が気になる
など術後に問題が起こるケースがあります。これを解消できるのが、乳房再建です。
乳房再建の方法には「自家組織を移植する方法(自分の体の一部で再建する方法)」と「人口乳房(インプラント)で行う方法」の二種類があります。どちらの方法を選んでも、再発の診断に遅れが生じることはありません。
乳首を失った場合は?
手術では乳頭・乳輪を切除する場合もあります。乳房再建から半年ほど経過すれば、乳頭・乳輪の再建も可能です。乳首再建は主に、
・反対側の乳頭を移植する
・皮膚を持ち上げ形成する
この二つの方法で行われます。皮膚を持ち上げて形成する方法では、その後授乳を考えている場合にも有効です。
どちらも再建手術となりますが、より手軽にするならアートメイクを使って乳頭・乳輪を描き、カモフラージュする方法もおすすめです。
乳輪乳頭カモフラージュとは
乳輪乳頭のカモフラージュとは、再建した乳房にアートメイクで乳輪・乳頭を描くことで完成するものです。一部のクリニックでは刺青(タトゥー)で色素を入れることもありますが、アートメイクでも施術可能。より自然で元の色味に近い乳首を再建できるのです。
アートメイクなら手術ではないため、気軽にできるのがメリットのひとつでしょう。また、医療行為なので術後に乾燥する・腫れるなどのトラブルが起きてもクリニックに相談できます。
以前であればアートメイクは「べた塗りの仕上がり」「不自然に見える」といったデメリットが目立っていましたが、現在では技術も向上し、立体感はないけれど色素のグラデーションによってより自然な仕上がりを体感できます。手術では乳首再建は可能ですが、「元の色味には戻らない」というケースもあり、この点をリカバリーできるのもアートメイクの特徴です。
ただ、アートメイクは数年で退色していきます。メンテナンスが必要となる場合もあるため、事前に
・どの程度継続して効果が得られるのか
・ダウンタイムで起こる症状の対処法
・再手術は必要か、必要であれば何年後か
などをアートメイクアーティスト(看護師)に相談しておきましょう。事前に情報をそろえておくことで、アートメイクの満足度を高めることができます。
まとめ
アートメイクと聞くとファッションや美容のために行うイメージが多いですが、医療補助技術としても応用されています。特に乳がんは若い世代にも広がっているため、再建手術にはリアルさと精密さが求められています。
乳房再建手術は保険適応できますが、残念ながらアートメイクは保険適応外になります。現在では治療費は全額負担ですが将来的には金銭的な負担が少なく済むよう、一部機関で活動が行われています。