INTERVIEW インタビュー
3「Obiiメディカルアートメイクスクール」大日方さん インタビュー
アートメイクアーティストであり、アートメイクスクール「Obiiメディカルアートメイクスクール」を主宰し、日本メディカルアートメイク協会理事も務める大日方(おびなた)幸子さん。アートメイクの地位向上に力を注ぎ、スクールの学長として、講師として、後進のアートメイクアーティストの指導にあたっています。
今回は、ご自身が立ち上げた「Obiiメディカルアートメイクスクール」について、詳しくお話を伺いました。
ーご自身でアートメイクスクールを立ち上げた経緯はどのようなものでしたか?
15年前からアートメイクアーティストとして仕事をしていたのですが、当時在籍していた新宿のクリニックで、予約がフルに入るようになったのがきっかけです。
私1人では1日にできる施術の件数が決まっていますし、患者さんの人数が限られてしまいます。
そこで、私が技術を教えて生徒さんが施術をすれば、もっと多くの方にアートメイクを提供できるかなと思ったのです。当時は自分と同じクリニックの看護師さん1人からスタートして、2012年頃からはクリニックから所属の看護師さんを教えて欲しいという先生からのご依頼もあり、カリキュラムを組み立ててアートメイクを教え始めました。
スクールを始めた当初はクリニックが主体で授業料を出すことが多かったのですが、今は看護師さん自身が新たに始めたいと、個人で申し込まれることが多いです。
— スクールには、看護師の資格がない方も来られますか?
やはり看護師さんが一番多いですが、「資格がなくてもアートメイクアーティストになれますか」「入学できますか」という問い合わせは入ります。私のスクールは有資格者(医師・看護師・准看護師)しか入校できません。また有資格者にも、「クリニックの中で施術を行う」という誓約書を書いてもらっています。
— 「Obiiメディカルアートメイクスクール」のカリキュラムの特長を教えてください。
色々な患者さんがいらっしゃいますし、デザインも一つではないので、アートメイクのやり方を教えるだけではなく、それぞれに対応できるような力を身につけてもらえるようにカリキュラムを組んでいます。
例えばアートメイクは1回入れただけでは薄くなるものです。そのため患者さんと信頼関係があれば、“薄くなりますよ”という私の言葉を、そういうものだと思っていただけるのですが、信頼関係がないとクレームにつながることもあります。薄くなってしまった、せっかく入れたのに色が全然入ってないと思われてしまうと、もうこの人にやってもらいたくない、ということになるんです。だから、最初のカウンセリングの段階で信頼関係をきちんとつくる、ということは大事かなと思います。
Obiiメディカルアートメイクスクールのポイント
①アートメイクを施すうえで重要な3つのスキルの習得
- ホスピタリティの高いカウンセリング・ノウハウ
- 美しさを引き出すデザインのセンス
- 施術における緻密なテクニック
②実践重視のカリキュラム
- 実技とモニター施術などの実践的カリキュラムを優先
— なるほど。技術的には、眉とアイラインを教えているのでしょうか?
はい、そうですね。あとは単発で、乳輪乳頭のパラメディカル(医療補助)コースと、眉の手彫りコース、リップ(唇)やヘアライン、傷跡修正コースが別にあります。
パラメディカル形成は、韓国で学びました。韓国は技術が進んでいて、メニューも多様だと思います。これは多分日本では流行らないだろうなというアートメイクもいっぱいあるんです。例えばノーズシャドウのように、小顔に見せるために輪郭にシャドー入れるアートメイクがあります。髪の生え際のアートメイクもそうですし、面白いと思うアートメイクの技術が向上して、実際に施術メニューになった例が結構あると思います。
— その他にスクールの特徴はありますか?
実は、講習期限が決まってないんですよ。一応、スクールの資料には半年って書いてあるのですが、生徒さんのご希望もあり、だいたい講習期間を過ぎてしまいます(笑)。
もちろん本人が3ヶ月で卒業したいのであれば、それに合わせてある程度授業を組みますよ。うちの場合は割とフレックスというか、生徒さんが週に1回毎週来る方もいれば遠方で月に2回の方もいます。
基本的な知識を身につけ、デザインが書けるようになってモニター施術に入っていくのですが、あるレベルのところまでいっていないのであれば、モニター施術を増やしたり、足りないと思われる基本に立ち返ったり、個々の進捗具合に合わせてすすめていきます。それがいいのか悪いのかちょっと迷うとこではあるんですけれど、でも一定のレベルは上手くなって欲しい、これ以上はできるようになって欲しいという気持ちがあるので、今のスタイルで進めています。
多分どこまでスクールでやっても、最初に患者さんに施術するときは、すっごく見えない汗をかくと思うんですね。ただ、自分の中である程度まで履修したから大丈夫という少しの自信があって施術をするのと、そうじゃないのとでは、やっぱり違うと思います。
生徒さんが入校の申し込みを行っていただく際に、どういうアートメイクアーティストになりたいかを作文してもらっているんです。例えば、独立したいのか、クリニックでやりたいのか、身内にできるようにしたいのか、などです。その思いを私も共有させてもらって一緒に目指していけるようにしています。
※デザインの練習資料の一例
— どのような生徒さんが多いのでしょうか?
今までは美容クリニックの看護師さんが多かったのですが、ここ2年ぐらいは、全く別の診療科にいた看護師さんや、大学病院出身でちょっと違うなと思い始めてアートメイクをやりたいという方も結構多くいます。
アートメイクという仕事があるんだということを、認知されてきているなと実感しています。
— 卒業する生徒さんへのアフターフォローはありますか?
さっきも申し上げた通り、ある基準のまではできるように指導しますが、やはり実際に施術に入っていくことが大事です。ですが、卒業しましただけで、症例数が少ない技術者さんは雇わないクリニックさんがほとんどじゃないかと思います。やはり施術ができる環境にいなければダメなので、今スクールの生徒さんに実際に働いてもらう「スチューデントサロン」的なクリニックさんを増やそうと思っています。
これは私の会社とクリニックさんが契約して、生徒さんを育てる場になってもらうもので、ゆくゆくは多数のクリニックさんと契約して、マッチングができるようにしたいと思っています。
そこで施術の経験を増やしてもらって、本当のアートメイクアーティストになってもらいたいなと。また、スクールの卒業生向けのモニター施術イベントもよくやります。モニター施術をやりたいという、生徒さんから卒業生の方まで申し込みもできます。
~スチューデントサロンについて~
スクールで技術を身につけた後の実践の場として、報酬をもらいながらクリニックでアートメイクの経験を積むことのできるシステムのこと。卒業後の就職は経験者に限るというクリニックが多数を占めるため、アートメイクの施術を重ねながら、就職に備えることができます。
— では、次にオリジナルのピグメント(色素)をプロデュースしているお話を伺います。
日本人の色にこだわったピグメントブランド「virga(ヴィルガ)」をプロデュースしています。
アートメイクアーティストにとってカラーの勉強は必須です。見たままの色が、人の肌に入って同じように発色するかというと、その人の肌色や肌質によって定着する色は違うんですね。アートメイクは、2回ないし3回で仕上げていますので、定着した色を見て色の配合を変えるようにしています。
私は色を選べない技術者が多いのかなと思っていて、選びやすい色を作るというか、わかりやすくしたいなと思っています。
例えば、茶色だとすると、赤ベースの茶色なのか、黄色ベースの茶色なのかによって、肌に残る色の明るさが変わるんですね。ですが、ピグメントの色をぱっと見たときに、これは赤が多い色なのか?というのがわからない。そうすると残っているアートメイクに対してどのピグメントならカラーチェンジできるのかも選べない。
3年ほど前からカラーを勉強するカリキュラムも取り入れてるんですが、もっとそれらがわかりやすいツールがあればアートメイクアーティストの役に立つかなと、今それをすごく考えています。
— ありがとうございました。
生徒を指導するだけでなく、技術者の役に立つツールの開発も行う大日方さん。ひとり一人の成長をじっくりと見守り、活躍するまでを丁寧にフォローするその姿は、とても誠実に感じられました。
スクール情報
Obiiメディカルアートメイクスクール
http://www.obii-artmake.com/school/
時間と人数
・開講日:毎週日月火曜日のいずれか10:30〜17:00※不定期
・定員:同時期に2〜3名(モニター施術については2名まで)※現在満席
受講場所
・株式会社Obii
東京都中央区銀座4-13-8ソフィアスクエア銀座5F
・シロノクリニック恵比寿本院(総院長:城野親德)
東京都渋谷区広尾1-1-40 恵比寿プライムスクエアプラザ2F
・今泉スキンクリニック(院長:今泉明子)
東京都港区六本木7-18第Ⅲ大栄ビル6F
・出張対応