INTERVIEW インタビュー
2【後編】アートメイクの学会・協会とは?【日本メディカルタトゥー協会 インタビュー】
医療アートメイクに特化した「一般社団法人 日本メディカルタトゥー協会」理事長の釜山先生へのインタビュー、後編です。なぜ医療としてのアートメイクということを啓蒙してるのか?医療アートメイクにおいて大事にするべきこととは?をお伺いしました。
ーさて、前回お話を伺う中で、協会の活動は地道に医療としてのアートメイクということを啓蒙されていくイメージでした。なぜ、手間暇をかけてそのような活動をされてるのでしょうか。
シンプルに、消費者と看護師を守るためですね。
消費者の方にとって「安心・安全」は最低限のラインです。10代、20代の方は、ここ数年のブレイクにより新たな美容医療施術としてアートメイクをとらえていますので、クリニックでの施術が当たり前という流れで、とても良いと思っています。
ただ、30代、40代以上の方は、以前からある美容メニューとして認識していますので、今までのアートメイクとの差が分からず、サロンでやるものという認識がまだまだ強く、その層への発信はさらにしていく必要があると思います。
ーなるほど、確かに私たちもこういったメディアを使って発信していかなければと思います。
本当にそうですね。また、一方で看護師自身(技術者)を守るためでもあります。
アートメイクは美容医療ですが、SNSなどで取り上げられるのは「美容」のキラキラした部分。しかし、私たちの置かれているステージはあくまでも「医療」なんです。
ーと、言いますと。
「看護師」という職業でいうと、これまでは大学病院や総合病院では個人としてスポットライトを浴びることはほとんどなかったと言えるでしょう。アートメイクが自費医療に参入してから、看護師がスポットライトを浴びることが増えました。
やりがいや、新たな挑戦にはとても良いきっかけになっていると思います。美容看護も立派な看護の仕事だと私は思っています。
ー個人でインスタグラムなどのSNSをされている方も多いですね。
そうです。そのこと自体はとても良い傾向なんです。アートメイクが注目されやすくなり、その華やかさのいいところはぜひ活かしてほしいと思います。
一方で、アーティスト性だけに特化するのも危ないと思っています。あくまでも医師の指示のもとの「医療施術」なのですが、正しい知識が不足したまま患者様(消費者)に対応していたり、自己判断で看護師が決めているという例も少なからず耳にします。感染症・アレルギー・施術トラブルを起こさないなど、「医療」の観点はマストです。
医療アートメイクは看護技術の高度な「手技」です。失敗は許されませんし責任転嫁もできません。
ー医療の観点で大事にすべきことをお伺いできますか?
「使っているもの」「技術」この2つの安全は絶対です。看護技術の中の注射や点滴と同じ手技です。どんな相手に、どんなものを、一番苦痛の無い方法考えることでは同じです。
もちろん、自費医療なので絶対はないのですが、施術の説明とリスクに関しての同意、アフターケアの説明をきっちりと施術前に説明が出来ているかも大事です。
使っているものに関して、内容をしっかり把握し、管理責任医師が許可したもの、期限切れや破損などの確認を使用する技術者が確かめること。
技術に関しては、医療アートメイクはとても繊細な手技です。日々その技術を磨いていること。知識においては、様々な分野の医療知識が必要となるため、カンファレンスなど定期的に参加することで常にアップデートし続けることが重要です。認定試験やいろいろな講習を受けている看護師も当協会には多くいます。
当協会では毎月、医療アートメイク技術者向けの無料カンファレンスも実施しています。
ーなるほど。
アートメイク業界はまだ医療の観点ですべてが整っているわけではありません。これから整えていくところがたくさんあります。
ただ、整えていく過程で、消費者被害や看護師の法律違反があってはいけません。
それこそ、事故が多発すると看護師が施術を出来なくなることもあるかもしれません。そんなことのないように、協会として業界を牽引していかなくてはと考えています。
私たちの協会は技術についてはもちろん、時にはストップをかけたり厳しいことを発信することもあります。しかし、そういった存在が業界には必要だと考えていますし、長い目で見たときに消費者・看護師(技術者)を守ることに繋がると確信しています。
ーぜひ、私たちもその活動にご協力させていただければと思います。
ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。
ー本日はありがとうございました。